イジメによってはじめて知った、クラスの支配者

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イジメによってはじめて知った、クラスの支配者

「やだぁ、やっぱり忘れたぁ」 ランドセルの中身をゴソゴソといじる。 けれど手帳は無い。 ピンク色の手帳には赤い蝶々が印刷されていて、いつもそれこそ肌身離さず持っていた。 でも校舎を出る前に、ふと違和感を感じた。 そしてランドセルをあさってみたら…案の定。 手帳を忘れてた。 「きっと教室だ。取りに行かなきゃ!」 あの手帳は大事な物。 だから手元に無いと、不安でたまらない。 ホントはダメだけど、廊下を走った。 5-2の教室の前で、息を吐いた。 「はあ…」 一階から三階までのダッシュがキツイなんて…歳かしら? 引き戸を一気に開けると…。 「えっ…?」 振り返った顔を見て、わたしはすぐに誰だか分かった。 クラス委員長を務めている上に、生徒会書記までしている優等生クンだった。 「あら、まだ残っていたの?」 教室には夕日の光が差し込んでいる。 下校時刻まで残り十分程度だ。 わたしは彼の驚いた顔を見ながら、自分の席へと歩いて行った。 だけど…。 わたしの席の周りには、人だかりが出来ていた。 そこに、二人のクラスメートが倒れていた。
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