女装コンテスト

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「うわっ!」 「ぎゃーーーー!!」 「ひっ、びっくりした…」 男の子2人の為にお化け屋敷に入った俺は何故かお化け役のみんなに集中砲火を浴びている。俺は特にお化け屋敷が苦手でも得意でもないから驚かされたら普通にびっくりするし、怖いものは普通に怖い。 「なんで俺ばっかり…」 制作に一切協力していない俺は何処で何が来るのか全く想定出来なくて、前を歩いている男の子達以上にビクビクしながら歩いていた。 まぁ分かってるよ、怖がってる2人が可哀想だから脅かす気になれなくて俺の方を驚かしちゃってるんだって。でもやっぱり普通にめっちゃ怖いから。別に俺こういうの得意でも何でも無いからな。 「ウグ…アアア……」 「今度は何…うわ!ちょっ…怖ぇよ!」 いきなり肩を掴まれたと思ったら視界が反転した。 一瞬状況が理解出来なかったけど、多分これは…ぬたりぬたりと井戸から上がってきたお化け役の一人に俺は何故か押し倒されているらしい感じだ。 俺を押し倒している張本人はゾンビメイクと白いカラーコンタクトをしているせいでめちゃめちゃ怖い。なんでこんなに完成度高いんだよ…! 「お姉さんを返せー!」 「俺たちのお姉さんに乱暴しちゃダメだからなー!」 後ろで男の子達がお化け役をポコポコと殴っている。ちょっと可愛い事しないでくれよ、お姉さん思わずドキッとしちゃうじゃん。いや、本当はお兄さんなんだけども。 「アァ…」 「え、ちょ、やめ…」 何故かそいつは呻きながら俺にゆっくと顔を近付けてきた。やばい、なんだこれ…なんだこれ! 「お姉さんにキスしちゃだめー!!」 俺もダメだ!これは危ないやつだ!ていうか外から見てもキスしそうに見えてるのかよ! 「お前マジで…ふざけんなよな!」 本能的に危険を察知した俺はお化け役の誰かの股間を蹴り上げて2人の手を掴んで走り出した。
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