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始まりは順調。けれど?
翌日、藤谷が学食の隅にある自動販売機のコーナーのベンチに座り、コーヒーを飲んでいると、新井がやってきた。
「藤谷、昨日、あの坊やと飲みに行ったんだろ? で、さっそくお持ち帰りしたのか?」
「そんなことしませんよ。運命の相手なんですから。ゆっくりと時間をかけて関係を深めていくつもりなんですよ、優輔さんとは」
藤谷がコーヒー片手に言うと、
「優輔さんー? なんだよ、急に名前呼びかよ」
新井が少し呆れたような顔をしたので、そう呼ぶに至った経緯を話した。
新井はますます呆れた顔を見せる。
「まったく、そういうことに関しては天才的だな、おまえは」
「なんとでも言ってください。でも優輔さんって呼ぶのはオレの特権ですからね。くれぐれも新井さんは、きちんと呉林と呼んでくださいよ」
「はいはい。分かったよ」
藤谷の釘さしに、新井は両手を上に向け、外人のような仕草で応じた。
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