芽生える嫉妬心

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 これは、誰かからのプレゼントだ……。 「このストラップ、かわいらしいですね。優輔さんの趣味ですか?」  努めて平静を保ち、何気ない口調で聞いてみる。 「あ、それは……、もらったんです」  そう答えたとき、優輔の頬がかすかに赤くなったのを、藤谷は見逃さなかった。 「そうですか……」  藤谷はストラップを引きちぎり、靴で踏みつけてしまいたい衝動をなんとか抑えて、スマートホンを彼に返した。  本当はもっと詳しいことを聞きたかった。  ストラップを誰からもらったのか。  その人とはどういう関係なのか……。  だが、その答によっては、それこそ冷静でいられる自信がなかったので、とりあえずはやめておいたのだった。
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