運命の神様

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「あの坊やか? おまえの運命の出会いの相手ってのは」  新井がニヤニヤ笑いながら小声で聞いてくる。 「そうです」  藤谷も小声で答えた。 「ふーん……、分かる気もするなー。すげえ綺麗な顔立ちしてるじゃん。素直そうだし」 「横から入ってこないでくださいよ、新井さん」  くぎを刺すことを忘れない藤谷に、新井は軽く笑って、 「安心しろ。超上玉だとは思うけど、オレはやっぱ女のほうがいい」  肩をすくめた。 「呉林優輔です。一生懸命がんばりますので、よろしくお願いします」  優輔が自己紹介をし、ズラッとならんだ先輩教師たちへ深く頭を下げた。  まるで少女マンガから出てきたような美貌の新人教師に、若い女性教師たちが浮き立った様子を見せる。  藤谷がそんな女性たちを鬱陶しく思っていると、頭を上げた優輔と目が合った。  瞬時に藤谷がにっこりと微笑むと、大きな瞳が安堵したように微笑み返してくれる。  あー、もうかわいいったら……!  藤谷は二十五年間の人生で、今日ほど運命の神さまに感謝した日はなかった。
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