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部屋に戻ってパパにばれる前に読んでしまおうと、私はベッドに横になって本を開いた。
その物語の主人公は、レシリック王国という自然豊かでとても平和な国で生まれたリーヤ王子。
優しい王様と王妃様に育てられた王子は十歳を迎えていた。
王子も優しい心を持っていたが、いささか臆病であった。
幼き頃は、民衆の前に出ても王妃様の影に隠れてしまうほどだった。
そんな王子の守護獣だったのが、スノウ・ドロップという真っ白な毛並みが特徴の神獣だった。
神獣は代々王になる者を護る為に存在し、王子が十歳を迎えると新たな神獣が仕えるという契約だった。
けれど、そんなことも忘れてしまうほど国は長い間平和であった。
だが、それは突然起こった。
ある夜、空に暗黒の雲が稲妻と共に広がった。
暗黒の雲からは凍てつくほどの風と雪が吹き、その切れ間からは巨大な氷の魔王の幻影が現われた。
異変を感じた兵士たちは襲撃に備えたが、吹き荒れる雪と寒風は森も川も国の人々をも凍らせてしまった。
古き守護獣は王様と王妃様を護ろうとした。
しかし、すでに力のほとんどはスノウに継承されてしまい力が弱っていた。
王妃様は凍ってしまい、王様も体のほとんどが凍りついていた。
古き神獣は命を落とし、すでに消えていた。
王子だけは、スノウによって守られた。
翌朝、凍ってしまった王妃様を見て王子は絶望した。
身動きがとれない王様は王子に向かって言った。
『氷の魔王を倒し、この王国を救ってほしい』と。
けれど、恐れをなして体を震わせている王子に、王様はその幼さと臆病さを心配した。
だが、スノウが小さな手で王子の顔を叩きながら胸を張る姿を見て王子は決意する。
『必ず氷の魔王を倒して、みんなを元に戻す』と。
剣術は幼少の頃から、得意ではなかったが騎士団長から指南を受けていた。
王子は剣と防具を身に着けると、スノウとともに氷の魔王を倒す旅に出た。
世界のほとんどが銀世界に変わり、飢えた野生の獣が王子に襲いかかる。
スノウに助けられながらも、王子は少しずつ強くなっていく。
道中の村では優しい村人に助けられ、そのうち三人の仲間が加わって困難を乗り越えていった。
そして、氷の魔王が住むという氷の山にたどり着き……。
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