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 雪は既にかなり小降りになっていた。  国道253号。道路は五十センチメートルほどの雪の壁に両側から挟まれているが、アスファルトの表面にはほとんど雪は残っていない。やはり雪国の除雪力はハンパない。  今俺は、生まれ故郷に向かう車の中でハンドルを握っていた。スズキ・ジムニー。新型に買い替えた親父のお下がりで、今年の五月から俺のものになっている。  十日町市松代(まつだい)の、果てしなくカーブが続く山道。そして儀明トンネルを抜け、さらに続くワインディングの急坂を下り終えると、そこが俺の生まれ育った大島村だ。現在の正式名は上越市大島区。だけど俺が子供の頃は東頚城郡大島村だった。今でも俺にとっては大島村の方がしっくりくる。  大平(おおだいら)の交差点を左折し、菖蒲(しょうぶ)方面に向かう。ほくほく線の大島駅を過ぎてしばらく行ったところから少し山手に入ると、さすがに道路にはかなり雪が積もっている。だが、この車なら四駆に入れれば余裕で走れる。俺はそのままゆっくりと山道を登っていく。     
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