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俺はまず準備を開始した。既に実家を出たときから足は防寒長靴、上下はゴアテックスのカッパで身を固めている。雪はそれほど降ってないので、手袋は軍手で十分。保温性に優れる菅笠を頭にかぶり、首回りには襟からの雪の侵入を防ぐためと汗拭きを兼ねたタオルを巻き、長靴の下にカンジキを装着。これで雪掘り準備は完了だ。
使う道具はスノーダンプのみ。最近はスノーダンプもプラスチック製のものがあるが、ここみたいなガチの雪国では、やはりスチール製もしくはアルミ製に限る。
ばあちゃんの家は新築した際に屋根の雪下ろしをしなくていい設計にしたので、屋根の雪は自動的に家の裏手に落ちるようになっている。しかし、落ちた雪をそのままにしておくと、家の裏手に全くアクセスできなくなってしまうのだ。というわけで、屋根から落ちた雪を片っ端から家の裏の崖に落とすのが、今回の俺のメインミッションである。
しかし。
家の裏手に回ってみて、俺は愕然とする。
家の一階部分は完全に屋根から落ちた雪に埋もれていた。高さは3メートルくらいある。二階部分に届きそうな勢いだ。
ちょっと待て。これ、俺一人で全部除雪しなきゃならんの?
マジかよ……
まあでも、最近運動不足だし、世話になったばあちゃんのためでもあるし、頑張るか。
俺はスノーダンプのハンドルを両手で持って、雪の山に突き刺した。
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