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第一章:知らせ
拝啓、本山雅俊様
このたび、私は結婚することになりました。お相手の男性は、坂谷俊矢さんです。
彼は気遣いができて、爽やかで、優しくて、私に理解のある、とても素敵な尊敬の出来る人です。
近いうちにお父さんに紹介する予定でいます。顔合わせの日、いつなら都合がいいのか、この手紙の返事にでも書いてください。
電話でもいいけど。電話が苦手なことは知っているので、きっとお父さんは掛けてこないと思いますが。
仕事に明け暮れて婚期を逃すかと思っていましたが、29歳となったいま、私は晴れて妻となります。
結婚したら、女性だけが家事・育児、それに加えて仕事もしなきゃいけないなんて不平等だ!絶対に結婚なんてしない、ってよく口にしていたのに、まさか自分が結婚することになるとは思ってもみませんでした。
坂谷さんは、私がいまやっている仕事に理解を示してくれているので、心配はないです。家事も育児も、分担して協力することを二人で約束しました。なんとか、夫婦二人三脚でうまくやっていけそうです。
そっちは元気にやっていますか。今まで連絡しなくて心配しましたか?
お父さんに限ってそんなことないか。書きたいことは山ほどあるけれど、一旦これで終わります。くれぐれもお体に気をつけてお過ごしください。
真子より
手紙を綴っていたボールペンをテーブルの上に置くと、ふーっと息をついた。
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