第二章:再会

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手紙を父に出してから一週間、向こうから返事は来なかった。 娘からの唐突な知らせに驚いて、もしかするとどう返事を書いたらいいのか困惑しているのかもしれない。 真子は焦らずに返信が届くのを待つことにした。 二週間後にようやく父からの手紙がポストに届いた。 真子はどんな文が書いてあるのだろうとおそるおそる封を開く。 拝啓、真子様へ   仕事は落ち着きましたか?業務にもう慣れた頃でしょうか。   真子が結婚すると知らせを受けて、正直嬉しい気持ちと、愛娘が巣立ってしまう寂しさが胸に沸きました。 真子は家事が得意ではないから、他人様と一緒に、一つ屋根の下で生活出来るのか心配です。 今の時代、男性も家事は出来なければいけませんが、男性と同じくらいには女性も家事が出来なければいけないと思うのです。 男は胃袋を掴んだら離れません。どうか、数品でもいいから、とびきりの得意料理を身につけて、単純な男を尻に敷いてください。思っているよりも男ってのはかわいいもんですよ。 来週の日曜、空いています。場所は真子に任せます。   どうか達者で   父より   料理をしろというのは余計だ。真子は少しふくれた。 しかし男性も家事ができないといけないとかかれているので、どうやら女性が家事をしろという昭和の頑固親父のような考えは持っていないようだ。 真子は彼と相談し、父の住んでいる宮城へと向かうことにした。高齢の父を東京まで来させるのも気の毒だろうと彼とも意見があった。   「まこのおじさんって、どんな人なん?」 宮城の仙台駅へと向かう新幹線の中で、俊矢が訊ねてきた。俊矢は大阪出身で、関西弁を話すのだ。 「うーん、口数は少ないけど、でも、娘思いの良いお父さんだったよ」 母を幼い頃になくしていることはとうに話していた。 私の話しを聞きながら、最後の辺りには俊矢は泣いていたっけ。 彼の、他人の身の上話に大袈裟に感情移入してしまうところも、真子は大好きだった。 「そうなんやあ。会うのが楽しみやなぁ」 口元をほころばせながら彼は言った。ああ、この人の良さそうな笑顔が、私は好きなんだな。 真子は今更彼に恋心を抱いたきっかけを知ったのだった。
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