第二章:再会

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二人を乗せた新幹線はあっという間に宮城へと着いた。 父の住む家は仙台駅からそう遠くないので、着くと連絡していた一五時までには町を散策しても間に合うくらいの余裕があった。 でも、俊矢は早めに挨拶に行きたいというので真子は彼の意思を汲むことにした。 玄関前で、彼は前髪を触ったり、ネクタイを直したり、落ち着かない様子だった。 「まこ、俺、髪の毛、変やない?」 「大丈夫、変じゃないよ」 「ネクタイ曲がってへん?」 「曲がってないよ。まっすぐだよ」 「目にクマ出来てへん?目赤くない?」 「大丈夫だよ、すっきりした顔してるよ」 「昨日の晩、まこの親父さんに挨拶にいくんやって考えてたら、緊張してあんましねれへんかったんや」 なるほど、だからクマと充血を気にしていたのか。 「落ち着いて。私もいるじゃない」 完全にのぼせ上がっている俊矢をいたわるように彼の右手を握った。 「せやな、ありがとう」 「チャイム鳴らすね」 そう言うと、真子は玄関扉の前に設置されているインターホンを押した。 「まこです。彼を連れてきました」 はーいと答えると、雅俊はすぐに扉を開けて迎えてくれた。 「まこ、お帰り。隣の子が俊矢くんだね。初めまして。遠い所までわざわざよく来たね」 お父さんはそう言うと彼に右手を差し出して握手を求めた。 「初めまして。まこさんとおつきあいをさせていただいている、しゅんやと申します。」 俊矢も父に習って右手を差し出した。 「さあ、狭いところだけど上がってください」 握手した後、父はパンダのモチーフのあしらわれている、ぬいぐるみのようなスリッパを履くよう、彼の足元に差し出した。 お父さん、ちょっとこの状況でそのスリッパはないんじゃないの、と思わず突っ込みたくなってしまった。 ちらっと彼を横目で見ると、今にも笑い出しそうな顔をしているのが見えた。 スリッパを履かなければならない立場の人間なら抱いてもまともな感情だろう。いや、むしろよく耐えた方だ。   リビングに入室してテーブルに着くと、彼は開口一番に、 「娘さんと、まこさんと、家族にならさせてください! お願いします! 彼女と立派に家庭を築きます! 約束します!」 と一気に用意していたのであろうセリフを言った。そして、卓上に頭をくっ付け、父に向けてこうべを垂れた。 これほど感情のこもった彼の声を聞くのは初めてだった。
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