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「娘を、どうかよろしくお願いします。まこには、まだ至らないとことはあると思いますが、芯の強い心根のいい娘です。きっと、俊矢さんとなら二人でうまくやっていけるでしょう」
父はそう言うと、にっこりとした優しい笑顔を彼に、そして二年も顔を見せなかった自分勝手な愛娘の真子にも同様にその笑顔を向けた。
よっぽど疲れたのだろう、帰りの新幹線で東京に着くまでの間俊也はぐっすりと熟睡していた。
顔をそっと近づけると寝息がすーすーと聞こえる。
彼の無邪気な寝顔がとてつもなくいとおしく感じた。
一ヶ月後、真子も父と連れ立って彼の実家のある大阪の和泉へと結婚の挨拶に向かった。
両家の顔合わせは大阪市内にあるホテルのレストランで行った。
彼の両親からの反応は悪くないものだった。
母親の清子さんは、かわいらしい娘さんですね、と褒めてくれた。
父親は生粋の大阪人という感じの人で、緊張することなく挨拶を終えることが出来た。
むしろ、父の方がガチガチに固まってしまっていたので、「そんな様子じゃ、お父さんが結婚するみたいだよ」と茶化すと、彼の父親の啓介さんはがははと豪快に笑った。
父の体力が心配だったが、思ったよりも大丈夫そうだった。まだ年齢以上の体力はあるようだった。
両家の顔合わせは何事もなく、無事に済ますことが出来た。
結婚式の会場は、両家で相談した結果、彼の実家の大阪、そして真子の実家の宮城の中間をとって、東京都内のホテルで行うことにした。
東京には二人の職場があったので、式場探しがスムーズにいってちょうど良かったね!と喜んだ。
五月十日、二人は恋人から夫婦となる。
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