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イルカの背中の上でナルミははしゃいで言いました。「別の国にもうすぐ行けるのね」
「そうだよ」イルカは言いました。
ナルミはまたがった両足をバシャバシャと上下に動かして喜んでいました。
イルカは黙っていました。
ナルミはフンフンと鼻歌を唄っていました。
しばらくするとイルカが言いました。「あっ。忘れ物をした」
ナルミは言いました。「だめ! うそついてもだめ。ナルミにはちゃんと分かってるんだから」
イルカは苦笑いをしました。
ナルミはルンルンと別な歌を唄いました。
しばらく経ってまたイルカが言いました。「あっ。別の国は今閉まってたんだ」
「だめ! うそついてもだめ! 分かってるんだから」ナルミはまた言いました。
イルカはまた苦笑いを浮かべました。
ナルミはランランと別な歌を唄い始めました。
しばらくするとイルカが言いました。「あっ。別の国は今満員なんだ」
「だめ、だめ、うそついてもだめ」ナルミは笑って言いました。
イルカも思わずほんとに笑ってしまいました。
二人は海の上をどんどん、どんどん進んでいきました。空がしらじらと明るくなってきました。やがて水平線から真っ赤なトマトのような朝日が昇ってきました。
「見てごらん、きれいだろう」とイルカが言いました。
「うん、きれい!」とナルミは言いました。
二人は朝日の方へどんどん進んでいきました。
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