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「おもちゃの包丁に赤い絵の具を付けて徘徊していた、可愛い女子大生が死体を見つけちゃっただけかも知れないじゃない」
めちゃくちゃな反論だ。仮に事実だったとしても迷惑防止条例に引っ掛かりそうな気がする。
「無理がない? その反論。どっからどう見ても赤い絵の具には見えないけど」
「私がこの人を刺したところを見たわけではないでしょ。そして、この包丁についているのは赤い絵の具かもしれない。君は直接確認したわけではないのだから、確認して血液だと分かるまでは血液であるかもしれないし血液でないかもしれない。シュレディンガーの猫ならぬ血液だよ!」
エルヴィン・シュレーディンガーさんもそんな理論を提唱したことにされて、さぞ草葉の影で泣いていることだろう。そもそも、その理論は量子力学の確率解釈における重ね合わせの状態への反論であって、確認するまでは何事もわからないといったことではないと思う。
というか、会話の中で何回血液って言ってるんだろう。医者でもなければ日常の中でその単語を言う機会はなかなかないと思う。一生とは行かずとも一年分ぐらいは言ったんじゃないか。
「あと推定無罪です。まだ有罪だと判決されていないので無罪と推定されます。だから殺人犯よばわりはひどいと思います!」
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