白銀と鮮血

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「自分で、血って言ってるじゃないか。そもそも、こんな所誰も通らないと思ったのに見られちゃったって台詞はやましいことがないとでてこないだろ」  そう指摘すると、深いため息を吐いて「君は名探偵だね。まさか、こんな簡単に見破られるとは……」 「いや、悔しそうな顔をしているけど、自分から正体を明かしてたからね?」  これで名探偵と言われるなら人類の大半はシャーロックホームズになれる。犯人が最初からわかっているとは、なんて不出来なミステリーだ。 「いや~誤算だったな。まさか目撃されるとは。それなら君を殺せばいいのかな」  手に持っている物をこちらに向けてくる。殺意を伴い鈍く光輝いて、無機質で、冷徹な印象を与える。 「OK。黙っておくから目の前の好青年を見逃そうか」 「いや、私の目の前には意地悪そうな童顔の男性しかいないみたい」 「それは一体誰なんだろうね。僕は優しい顔つきのダンディーな男だと自負しているから人違いだと思うけど」 「精神科を勧めるよ」  一番、精神科への通院が必要そうな人物に勧められてしまった。正常で常識的で一般的な精神を持つと自負しているので、非常に不服だ。死体の目の前で冗談を言い合うこのシチュエーションは特殊ではあるが。 「僕が意地悪に見えるなら、君は眼科に行った方がいいね。もしくは留置場がふさわしい」 「その冗談は面白くないかな」     
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