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純白の幸せがきらきらと輝いている。雪と同じ色のそれは、やわらかく揺れていた。
土鍋の中でシンプルに存在している姿を幸せと言わずになんと言うのだろう。趣味が渋い、なんて言われることもあるが、それは確かに幸せなのだ。
お玉でそっと掬い上げ、取り皿に移す。葱と鰹節は薬味の定番。そろりと垂らす醤油で、白がじわりと染まった。
ベストな加減で味付けできた。そう考えながらそれ――湯豆腐を口に運ぶ。
「……ふふ」
思わず笑みがこぼれ落ちる。貰い物だという豆腐は上等らしく、格段に美味しい。味付けに成功したのだからなおさらだ。
喉を通る温かさを実感しながら、私はちらりと窓を見た。雪はまだ降っている。きっと食後でも降っているだろう。
デザートは雪を見ながらコタツでアイスかな。なんて、こっそり計画してみた。
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