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「……恥ずかしながら現在進行形でした。アイリス殿の仰ってた裸エプロンも時たま試してみたのですが、中々、悪戯まではしてくれる様になったのですが、残念ながら料理して食べるまではしてくれませんでした」
「……あらあら、ホントに彼女みたいなタイプなのね、それじゃあ今度ゆっくり話し合いましょ、中々狼や獣になってくれない相手を持つ者どうしで」
「ええ、楽しみにしています」
アイリスとミランダはそう言葉を交わすと小さく微笑(わら)い合った後に料理に専念した。
ダイニング
アイリスとミランダは手慣れた手つきで夕食を整えた後にライナ達に出来上がった食事を並べさせた後にアイリーン達に食事の用意が出来た事を告げ、その報せを受けた皆がダイニングに到着するとテーブルにはこのダンジョンでは初めてとなる携行食以外の食事が並んでいた。
オレンジソースのかけられた牡鹿のステーキに山鳩の香草焼きに鴨のローストに果物と携行食のビスケットに水で割った山葡萄の果汁、と言うメニューがテーブルの上に並べられており、その光景を目にしたアイリーンは相好を崩しながら弾んだ声をあげる。
「これは、御馳走ですわね、娼奴隷となってからは碌な食事がありませんでしたから」
アイリーンがそう言うと彼女と共に長きに渡り娼奴隷として奉仕する事を強いられてきたクラリス達が万感の表情と共に頷き、その頷きを目にしたアイリスは苦笑しながら口を開く。
「そこまで大袈裟に言われると照れちゃうわ、さあ、冷めない内に食べましょう」
アイリスの言葉を受けた一同はテーブルを囲んで食事を始め、久方ぶりに食した温かな食事とアイリスとミランダの料理の腕前に舌鼓を打ちながら夢中で食事を続けた。
並べられた料理の皿は瞬く間に綺麗になってしまい、空になった皿はアイリーンの侍女達が手馴れた手つきで回収した洗った。
アイリスはそれらが終わった後に侍女達に水で割った山葡萄の果汁が入った水差しを幾つかテーブルの上に置かせ、その後に人心地ついた様子の一同を見渡しながら言葉を続ける。
「さてと、食事も済んで一息ついた所で、今後の事について話し合いましょう」
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