1人が本棚に入れています
本棚に追加
アイリスがそう告げると女エルフ達は決意を籠めた表情でミリアリアを見詰め、ミリアリアは小さく頷いた後にアイリスを見ながら言葉を続けた。
「故国ヴァイスブルク伯国は既に滅ぼされ、唯一の味方だったラステンブルク伯国も所詮は敵に過ぎなかった。既に私達には貴女しか頼れる味方はいない、そして、貴女は魔王だ、ならば貴女は魔王として好き勝手に行動して欲しい、私達は貴女の行動に従うし、今回は私達からもお願いする。あの売国奴どもにそれに相応しい末路を用意してくれ」
「……私(わたくし)どもも皆様と同意見ですわ、国を喪い、娼奴隷として生きて行くしかなかった私どもが今あるのはアイリス様の御慈悲と御配慮があったればこそ、御自分の道を御進み下さい、リステバルスに縁のある者やリステバルスの者と相対したとしても憂う事無く叩きのめして下さいませ」
ミリアリアに続いてアイリーンもこの場にいる狐人族を代表して意思を伝え、アイリスは頷いた後に言葉を続ける。
「貴女達の意思、確かに受け取ったわ」
アイリスはそう言いながらゆっくりと立ち上がり、右手を軽く掲げながら言霊を紡ぐ。
「……ダンジョン・クリエイティブ」
アイリスが言霊を紡ぎながら掲げた右手の指をパチンッと鳴らすと微かに床が揺れ、それが収まるとミリアリアが若干顔を引きつらせながら口を開いた。
「……わ、分かりきった事だが、一応何をしたか聞いていいいか?」
「今度の連中は数も多いしエルフまでいるでしょ、万が一に備えてダンジョンを5階層から10階層に増築したわ、これで同盟者(フェデラートゥス)の魔龍やテイムしてる大型モンスターも戦力として計算出来る様になるわ」
ミリアリアの質問を受けたアイリスは事も無げな口調で説明し、一同はただでさえエグかったダンジョンが更にエグくなった事を理解して密かにドン引きした。
その後アイリスが一同と協議を続けた結果、ミランダ達陣営から救出された女エルフ達が翌早朝にラステンブルク伯国へ向かって逃走しているヴァイスブルク伯国の残党の救助に向かう事を決定し、一同は翌日の行動に備えて早目に休む事となり解散した。
最初のコメントを投稿しよう!