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わんわん、と吠えると、八百屋のおかみさんが出てきた。
「あら、フロマージュ、いらっしゃい。いつもお手伝い偉いわね!よしよし、さあメモを見せてね。あら、野菜は書いてないわね。お肉は仔牛のひれ肉の薄切りと生ハム。ならサルティンボッカ・アッラ・ロマーナじゃないの!いいわね、わたしも大好きよ。ほっぺたが落ちるわ!付け合わせは、そうね、インゲンとラディッシュ、クレソンもいるわね。さあ、どうぞ」
フロマージュは、じっとおかみさんの顔を見て、わんわんと吠えた。
「え、なあに?ああ、そうそう。ちょっと待っててね」
そういうと、おかみさんは奥から小さな包みを持ってきた。
「サルティンボッカ・アッラ・ロマーナならセージがないと!おまけしとくわ。チャオ!フロマッジオ!」
フロマージュはお礼にわんと吠えると、しっぽをふりふり八百屋を後にした。生ハムとセージの香ばしいにおいがとんがった鼻を刺激した。
(ああ、たまんない)
ぶるぶると身震いすると、フロマージュは先を急いだ。
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