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お屋敷に戻り、お手伝いさんにふろしきを取ってもらうと、フロマージュはぶるぶるっと身震いして、とことこと犬小屋に入り、身体をまるめてひと休みした。
「あらあら、いっぱい入ってるね。フロマージュに頼むといつもこうなんだから。でもいいわ、どうせおまけしてもらえるんだから。さあさあ、晩の支度をしましょうか。おいしい牛薄切りの生ハムのせを作りましょう!」
すぐにお屋敷の中からはおいしそうなにおいが漂って、道行く人たちの鼻をくすぐった。窓からは、お手伝いさんができたての料理をテーブルにきちんと並べるところや、ご主人が満足そうにブルゴーニュの栓を抜くところを見ることができた。そして、もちろんフロマージュの前にも、完璧なサルティンボッカ・アッラ・ロマーナがちゃんと出されていた。ひとくち味わうとフロマージュは満足げにため息をついた。
(まったく料理なんてもんは、いい材料とセンスのある舌さえあれば、レシピなんて知らなくても何とかなるものだな!)
フロマージュはひげについた汁をなめると、一息ついてからこんどは一気にむしゃむしゃとご馳走を平らげた。
〜おわり〜
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