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女性だけ街
女性だけの街が出来た。
新たな法が試行され、実験的に始められたものである。
この街に住まう権利を有するのは、戸籍上「女」と書かれた者だけだ。
街には自治権までが与えられているので、行政があり、司法に警察機能まで備えている。
もちろん構成員は全てが女性だ。
住民は口を揃えて言う。
「この街は快適である」と。
すると国内では、次のような不満が叫ばれるようになった。
彼らは「不公平だ。男だけの街も造れ」と言う。
その圧力の強さから、とある一区画に同じものを用意した。
街の機能も同様に自治権が与えられ、あらゆる職や権限が男性によって占められた。
ここの住民も口を揃えて言う。
「この街は快適である」と。
女性だけの街に住む住民は、かつてないほど解き放たれた暮らしを送った。
性犯罪を恐れる心配がない。
ゆえに夜道を独りで歩こうとも、貞操においては安全である。
美醜の差に悩む必要がない。
男の目線が消えた事で、容姿は個体識別の機能しか持たなくなったのである。
男性だけの街に住む住民も、我が世の春を謳歌した。
家庭や恋人の束縛から解放された。
毎月の稼ぎと有り余る時間を、己の趣味嗜好に費やせるようになったのだ。
収入格差に悩む必要がない。
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