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私は彼と手をつなぎながら、ショッピングを楽しんだ。
彼は、女性服やブラジャーを全然知らない。
まあ、元男子だから仕方ないんだけど。
私は、彼に着方や合わせ方を説明しながら、次々と服を着せていく。
「うん。次はこの服とこの服ね。」
なんか、幼い感じにしたから、妹でもできたみたい。
一通りの必需品を揃えたところで、私と彼はクレープ屋に向かった。
よく通りかかるクレープ屋に、食べてみたかった新作が出ていたから。
「え、でも、この格好で?」
「大丈夫、大丈夫。よく似合うから。」
実際、彼の姿は、ゆるふわ系の可愛い感じに仕上がっていた。
「でも、学校の人に見られたら……」
「そのときは、お姉さんがぶっ飛ばしてあげるから。ほら、服代も私が出したんだし、1つぐらい私のわがまま聞いてよ。」
私は、強引に彼をクレープ屋に連れていく。
不安そうにしていたのに、クレープを食べはじめると、笑顔がこぼれはじめる。
二人でクレープを食べながら帰っていたそのとき、彼の動きが止まった。
顔を赤く染める彼の視線の先には、アキラくんがいた。
彼が、学校の女子ではなく、親友であるアキラくんに会うことを警戒していたことを悟った私は、彼を抱き締め彼を隠した。
「ありがとうございます。」
アキラくんが通りすぎたのを確認して、彼が私にお礼を言う。
隠れなくても、アキラくんも惚れるぐらい可愛くなっているのに……
その恋、お姉さんがサポートを……って違う違う違う!
なんで、ライバルのサポートしているの?
私は、彼とアキラくんと引き離すつもりだったのに。
私は男子寮まで彼を送り届けると、彼が私の腕の裾を掴む。
「あの、また買い物に行ってくれますか?」
じっと見つめる彼に私は「うん。」と答えるしかなかった。
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