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少し歩いたところで、俺は「忘れものをしてしまって……」と話し、店に戻った。
マコトは「まだ先輩たちがいるかも知れないから一緒に行こうか?」と言ってくれたが、まあ居てもらわなきゃならないし、見られちゃいけないからな。
少し理由をつけて(トイレも借りたいのを悟らせ)、1人で店に戻った。
あ~らら、やっぱりまだ気を失ってる。
「さて、やりますか。」
俺は、俺やマコトの胸ぐらを掴んだ男の頭に手を置いた。
男は、光に包まれると、俺と同じ姿に変わっていく。
「声出されて、正体証しても面白くないしな。声帯は潰しておこうか。まあ、半日経てば、元に戻るから、それまでの辛坊だよ。」
俺は、変身途中の男の服を全て脱がすと、それを近くのゴミ箱に捨て、奈良から持ってきた俺の私服をそこに置いた。
「その女は好きにしろ。俺は兵部マコトを追う。……まあ、こんなところかな。」
俺は書き置きを残し、そこを去っていく。
俺が物陰から様子を見ていると、まず、俺の姿に変身した男(今は女)が目を覚ます。
「……!……!!……!!!」
男(今は女)は店のガラスで自分の姿にを見ると、声が出ないまま、驚いた様子で、身体中を触っている。
そんな事している間に、早く離れた方がいいのに。
その間に、取り巻きたちも目を覚まし、書き置きを見て、男(今は女)をどこかに連れていった。
さあ、マコトのところに戻ろうか。
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