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「ねえ、タクミくん。」
「何?」
「タクミくんは、何で私なんかを好きになったの?」
「鮫島さんは、私を助けてくれたから。それに、いつも私の買い物に付き合ってくれて、その……鮫島さんといると、毎日が楽しいから。」
「……ありがとう。」
自分で聞いておいて、自分が恥ずかしくなる。
「でもね、元に戻ったら、私……お、おれが、鮫島さんを守れるようになるから。」
「タクミくん!」
私は、タクミくんの前に顔を出した。
「……」
「まだ元に戻ってないんだし、無理に「オレ」って言わなくていいから、私のことは「カヤ」って呼んで。」
私は、タクミくんの返事を待たずに、自分の唇でタクミくんの口をふさいだ。
1週間後、
祖母が倉庫に入ってくるのを感じた私たちは、繋いでいた手をとき、急いで服を着た。
「おや、早いね。もう起きてたのかい。」
「いや、ほら、元に戻れるのが待ち遠しくて……ね、タクミ。」
「うん、カヤ。」
「ふーん。じゃあ、始めようかね。」
私たちは、もう一度箱の中に入っていく。
私は、赤い箱の中に、タクミは黒い箱の中に。
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