第8話:転生(前世の記憶保持)

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第8話:転生(前世の記憶保持)

私の前世の名は、善徳。 勇者や魔王なんて聞くと、異世界だけの話と思われることがよくあるが、この世界にも魔王はいる。 西暦622年、 人間の欲に漬け込む魔王がいた。 その魔王は、人間が望むものを与え、この世に混乱を招いていた。 人間の望みを叶えると聞くと、神か仏のように感じるかもしれない。 実際、当時も、そう感じ崇める者が多くいた。 だが、人間の欲には底がない。 また、中には他人を陥れようとする望みもある。 例えば、当時、階層が成立しかけていたが、誰もが高みを望み、邪魔な人間を排除したがる……それは階層が成立した現代社会では説明する必要すらないだろう。 魔王は人の欲望に漬け込み、望みを叶えていった。 ときには、人知を超えた力を身につけた者がたちもいた。 その力こそが、魔法…… 「戦で戦果をあげたい」と願った男は、変身魔法を手に入れ、自身の姿を鬼と変え、自身の家族も含めた周辺の全ての者を薙ぎ倒した。 念動力や身体強化の魔法も、同様に戦で人を殺すために使用されていった。 「楽して上位の冠位を手にしたい」と願った男は、入れ替わりの魔法を手に入れ、自身と上司の体を次々と入れ替え、昇進していった。 政策に不満を抱いた男は、形質変化の魔法を手に入れ、暗殺を行った。 諜報活動(スパイ活動)を行っていた男は、憑依能力を使い、敵勢力に情報を与えた。
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