第16章

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「……ありがとう」 ユーフェンの顔を見るのは恥ずかしく、うつ向きながら言った彼女に、彼はまたクスリと笑った。 純粋な彼女が何とも愛しい。 そしてリオンも。 (ユーフェン……好きだよ) 爽やかで甘いユーフェンの香りに包まれながら、彼女は目を閉じた。 できることなら、ずっとこのままで居たい。 ユーフェンの近くに――。 リオンは彼の服の裾を握った。 (時間が、止まってしまったらいいのに……) そんな彼女の心情も虚しく、部屋には早々に着いてしまうのだった。
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