第16章

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風が強さを増してくる。 降り出した雨も激しくなってきて、鞭のようにバチバチと城の壁や窓に当たる。 『勘違いしちゃって、バカみたいね』 (勘違い……?) フラフラと城内の廊下を歩くリオン。 大粒の雨に打たれ、髪からは雫が滴り落ちる。 アシュリの言葉を聞いた後、突如降りだした雨。 幸いにも会話は中断され、二人は城内へと入った。 『ヤダァ、濡れちゃった……。早くユー兄様のトコに行って拭いてもらわなくちゃ』 (本当に、ユーフェンに拭いて貰うのかな) 彼女が向かったのはユーフェンの所、まず間違いない。 (……でも、二人じゃないよね。グルーヴ様もいるだろうしリルさんも……) 「……リオン?」 (嫌だな……。私はあくまでもユーフェンの友達……) 「リオン!」 「……え?」 呼びかけられて立ち止まる。 振り向いて見てみると、そこにはライトが立っていた。 「どうしたの? 凄いずぶ濡れだよ?」 ライトはポケットから小さなタオルを取り出すと、必死に背伸びをしてリオンの頬にそれを当てた。 その様子に優しく彼女は微笑むと、ライトの視線と同じになるように腰を下ろし、膝をついた。 「ありがとう。ゴミ出し行ってたら、雨に打たれちゃった」 金の髪を撫でると、ライトは照れくさそうに笑った。 大きくて丸い青の瞳が、彼女の姿を捕える。 「ね、もうアシュリ達には会った? もし会ってないなら、ボク紹介してあげる。二人共、とても楽しくて……」 「……ううん。大丈夫、お会いしたよ」 アシュリ。 その名前を聞くと、先程の言葉が連想される。 『勘違いしちゃって……』 思っていたよりも、その言葉の威力は彼女にとって大きかった。 気にしすぎだと言われればそれまでかもしれないが、彼女にとってユーフェンは謎多き人物でもある。
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