第17章

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「明日ね、天気も良くなりつつあるから視察に行くみたい。ユー兄様がここに帰って来る頃は……心、ここにあらず、ってことになってるかもね」 それだけ言うと、アシュリは踵を返す。 彼女の顔に笑みはなかった。 だがそれは、悪意や敵意の意味を含むものではない。 それはもっと別の意味のもの。 (心ここにあらず……? アシュリ様、何をするつもりなの……?) 去って行くアシュリの背中を見ることしかできない。 彼女の言葉の意味から、『何か』が起こるのは視察のとき。 アシュリもきっと、リオンと同じように己の感情がまた抑えきれないのだろう。 (私、何もすることできない……。ユーフェン……) この時、既に運命の歯車は回り始めていた。 ゆっくりと、けれど確かに――。 それに気付いていたのはただ一人――アシュリだけであった。
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