第18章

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翌日、あれほど強かった雨も今は小降りになり、激しく吹いていた風も弱まって。 良い天気とは言えないけれど国の視察は行われ、朝早くにユーフェン、アシュリ、グルーヴの三人は城を出て行った。 「おい、何してんだよ」 「……え?」 不可解そうに見つめてくるユイランに気付き、リオンは手元を見た。 持ってきたのはユイランの食事。 机の上にそれを置き、そしてもう一つの食事を向かい側に。 「あ……っ」 いつもなら持ってくるのは彼の食事だけなのだが、何故か、今ここに持ってきているのは二人分、リオンの食事であった。 「あ……はは、折角だから一緒に食べよっか、朝ご飯」 彼女は苦笑いを浮かべながら、二つのグラスに水をつぐ。 その様子を見ていたユイランは、ベッドから机の方に移動した。 「何を気にしてんだ」 「……え?」 椅子を引いて、そこに座るユイラン。 相変わらず目線は合わせず、淡々と喋る。 「辛気くせぇんだよ、ツラが」 「……ごめんなさい」 彼はフン、と鼻を鳴らすと、「そういや……」と言葉を続けた。 「お前、何で昨日あいつに余計なこと言ったんだ?」 リオンは首を傾げながら、ユイランの向かいの椅子に座る。 訳のわかっていない彼女に、ユイランは不機嫌そうに言った。 「グルーヴに決まってんだろ。何で俺の付き人だって言いやがった」 それは、つい昨日のこと。 グルーヴがこの部屋でユイランに因縁をつけている時、彼は彼女を『冷やかし』だと言った。 けれどその後、リオンはグルーヴに『自分は付き人』だと――。 「あいつは敵に回さねぇ方がいいんだよ。……余計なこと言いやがって」 ユイランはパンにかぶりつく。 眉間に皺が寄っているが、彼女は不思議と恐いとは思わなかった。 彼が、自分を想い遣ってくれていると思えたから。 「ありがとう」 自然と出た言葉だった。
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