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思わず目を細めた。
金の髪が、これほどまでに似合う人物はユーフェン以外にいないと思った。
ずっと見つめていたくなる。
もし、自分も白の妖精であったなら、ユーフェンも自分に対して同じように思ってくれるだろうか。
「どうかした?」
ユーフェンは自身を見る視線に気づき、声を上げた。
ポタポタと、雨の滴が古びた屋根に当たり響く。
「いいえ、ユー兄様が美しくて見惚れておりました」
「そんなことないよ」
「そんなことあるのです。女のわたくしでも羨ましいくらい……。ユー兄様を、子供の頃からずっと美しいと思っていました」
初めてユーフェンに会ったときは驚いたものだった。
綺麗な顔立ちに佇まい、僅か十歳であったにも関わらず優美だった。
「……でも、ユー兄様は、良くも悪くも変わってしまいました」
ユーフェンはぴくりと肩を震わすと、身構える。
紡がれていく言葉を待った。
「でもユー兄様、わたくしは……どんなユー兄様も受け止めてみせます。耐えてみせます」
「アシュリ……」
細く白い、柔らかい腕を伸ばし、ユーフェンの手を握った。
「幼い頃は笑って交わされてしまいましたけど、今度はお返事を下さい」
アシュリの手に力が篭る。
「ユー兄様、わたくしをお嫁さんにして下さい」
「おい、だから何してんだ」
「……あっ!」
朝食の食器を片付けた後、日課になっているユイランの部屋を掃除しに来たリオン。
何を考えていたのか目の前を見てみると、床をはく箒を窓ガラスに当てている。
「な、何やってるの、私……」
「俺が聞きてぇよ」
ユイランの発言に、「確かに」と頷いた彼女は、箒を下ろす。
彼は溜め息をつき、呆れた視線を向けた。
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