第16章

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「どうしたの? 元気ないね?」 心配そうに見上げるライト。 リオンは自分の頬を軽く叩くと、にっと笑った。 「そんなことないよ。元気、元気!」 「ほんと?」 途端に明るさが戻るライトの表情。 「あ! ボクね、これからアシュリとおやつ食べるの。アシュリが国から持ってきてくれたおやつなんだよ。一緒に食べようよ」 軽くなった心も、やはり名前を聞くと重くなる。 リオンはアシュリに会うことを恐れるようになっていた。 「……ううん、私仕事残ってるから。それに着替えもしないとだしね」 彼女は笑いながら服の裾を抓んだ。ポタポタと滴が落ちている。 ライトは残念そうに肩を落とした。 「えぇ~、美味しいのに……」 「ごめんね、ライト」 それだけ言うと、また廊下を歩き出した。 (そうだ……私には仕事が残ってるんだ。色々考えておろそかにしちゃいけない……) 「リオン……?」 リオンの背中を見送るライトの声は、彼女に届くことはなかった。 自室に戻り、身だしなみを整える。 髪をきちんと乾かし、新しい服にも着替えた。 時計を見ると、昼の一二時近くになっている。 (お昼ご飯持って行く前に、朝の食器片付けなきゃ) ゴミ出しで大分時間を食ってしまった為、いつもなら片付けてある食器もそのままだ。 リオンは急いで部屋を出、ユイランの部屋へ向かう。 だがその扉を開けようとしたとき、中からユイランとは違う人の気配を感じた。 (……誰……?) いつものようにノックをして、扉を開ける。 カチャリ、という音と共に振り返ったのは、グルーヴだった。 いつもは鍵で閉まっているユイランの部屋。 (どうしてグルーヴ様が中に……)
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