0人が本棚に入れています
本棚に追加
(あれ? こんな所に……)
棚と棚の間の僅かな隙間。
不自然に、人一人分の間隔があいている。
(ドアノブが……!)
この部屋の大きな扉とは打って変わっての、小さな扉。
リオンはそのドアノブに手をかけた。
先程の扉よりも、いとも簡単に開く。
「!?」
彼女はその部屋に足を踏み入れ、驚愕した。
青く光る部屋の原因がわかった気がした。
「……何、これ……?」
縦は二メートル、横は一メートル程の箱型のガラス機械。
箱いっぱいに薬品の液が入っており、下からはブクブクと泡を出している。
光はその薬品から放たれているものだった。
だが彼女にとってそんな光はどうでも良かった。
それよりも――。
「この、人は……?」
その機械の中に、薬品の中に入っていた『人』。
肩までの髪は緩やかなウェーブで、ゆらゆらと揺れている。
服は何も着ておらず、閉じられている瞳。
その顔立ち、体から、女性であった。
「この人は、誰……?」
ユーフェンが隠していたもの――隠していた人。
「リオン!?」
「……っ!」
名前を呼ばれ、後ろを振り向いた。
手に薬品のビンを持ったソルトが、扉の前に立っている。
「あ、ソルト……」
(ユーフェンかと思った……)
ほっと胸を撫で下ろす彼女とは逆に、ソルトは信じられないといったような目を向けた。
「リオン、何でここにいるんだよ。鍵は閉めたはずなのに……」
リオンは「あっ」と声を洩らすと、自分のポケットから鍵を取り出し、彼へと差し出した。
「この鍵……前に俺が落としたやつじゃん。何でリオンが?」
ソルトは彼女の手中から鍵を取る。
最初のコメントを投稿しよう!