第19章

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(あれ? こんな所に……) 棚と棚の間の僅かな隙間。 不自然に、人一人分の間隔があいている。 (ドアノブが……!) この部屋の大きな扉とは打って変わっての、小さな扉。 リオンはそのドアノブに手をかけた。 先程の扉よりも、いとも簡単に開く。 「!?」 彼女はその部屋に足を踏み入れ、驚愕した。 青く光る部屋の原因がわかった気がした。 「……何、これ……?」 縦は二メートル、横は一メートル程の箱型のガラス機械。 箱いっぱいに薬品の液が入っており、下からはブクブクと泡を出している。 光はその薬品から放たれているものだった。 だが彼女にとってそんな光はどうでも良かった。 それよりも――。 「この、人は……?」 その機械の中に、薬品の中に入っていた『人』。 肩までの髪は緩やかなウェーブで、ゆらゆらと揺れている。 服は何も着ておらず、閉じられている瞳。 その顔立ち、体から、女性であった。 「この人は、誰……?」 ユーフェンが隠していたもの――隠していた人。 「リオン!?」 「……っ!」 名前を呼ばれ、後ろを振り向いた。 手に薬品のビンを持ったソルトが、扉の前に立っている。 「あ、ソルト……」 (ユーフェンかと思った……) ほっと胸を撫で下ろす彼女とは逆に、ソルトは信じられないといったような目を向けた。 「リオン、何でここにいるんだよ。鍵は閉めたはずなのに……」 リオンは「あっ」と声を洩らすと、自分のポケットから鍵を取り出し、彼へと差し出した。 「この鍵……前に俺が落としたやつじゃん。何でリオンが?」 ソルトは彼女の手中から鍵を取る。
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