第19章

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(あなたは……誰ですか? ユーフェンの、何ですか?) 体中の血が騒ぐ。 頭が割れそうな程、激しい痛みが伴う。 まるで、夢を見ているようだった。 現実に一番近い夢。 (これは……) 眠っているわけでもないのに、次々と頭に情景が浮かび上がる。 リオンも知っている場所、ユーフェンの部屋。 家具の配置は今とあまり変わってはいない。 けれど、確実に違うことが――。 『ノア、今から出掛けるの?』 夢の中のユーフェンが口を開ける。 今よりも少し幼い王子。 年齢は、一六歳くらいというところだ。 ノアと呼ばれたその女性は振り返る。 「……!」 やはり少し幼い顔をしているが、この機械の中の女性と同一人物であった。 ノアはグリーンの瞳を細め、柔らかく微笑んだ。 『はい。何か必要なものがあるなら買ってきますよ?』 (あれ……?) リオンはノアの発言にはっとした。 いつであったか、同じような発言を自分もしたことがある。 (……そうだ、私ユイランに……!) 村へ行くとき、ユイランに聞いたこと。 このときはあっさり「いらない」と言われてしまった。 ノアも自分と同じような発言をする。 ――ということは。 (ユーフェンの、付き人!?) 心がざわめく。 今のところ、現付き人であるリルとソルトは出てきてはいない。 (まだ……わからないよ) リオンはその夢に集中した。 情景がまた変化し、今度はとある店へと変わった。 村にあるその店は、アンティークな物を置いている土産物屋。 必死に何かを探すノアの姿。 『お嬢さん、何をお探しで?』 店の中年の男が声をかけると、彼女は商品から男に視線を移した。 『ブローチを探してるんです』 『ブローチ? 誰かにプレゼントかい?』 男が冷やかすように言うと、ノアは幸せそうに笑った。 『はい! もうすぐ誕生日だから』
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