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こうして二人で迎えた、正月二日目。
真友子から、さり気なく今晩に食べたい物を尋ねられた。
「大ちゃんのお家から頂いたお節もほとんど残ってないから、
ちょっと買い物にも行こうと思うんだけど」
そして、そう言われて真っ先に大祐の中に浮かんだのは、やっぱりこれ。
「鍋。ほら、最初に間違い電話した日に、まぁゆが食べたっていう
アレがいい」
「ええぇ、あんな簡単な物でいいの?」
「うん。だってあの話聞いて、僕、すごく鍋が食べたかったんだもん。
買い物なら僕も一緒に行くから、それにしよっ」
嬉々とした目を向けつつ、こんな何気ない会話がポカポカとした幸せで大祐を包み込む。
すると、ウキウキしているのも明らかなその彼を、目の前の真友子が
ちょっと見つめた。
「だったら、今夜はそれにするけど……」
そして、少し意味ありげに言葉を切った真友子が、にわかに伺うような眼差しを向けてくる。
「ねぇ、スーパーに行きがてら、大ちゃんのジオラマ見せもらえない?」
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