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12 救いと癒しの神様
翌朝、目覚めたのは真友子のほうが先だった。
そして隣に視線を向けると、無防備な大祐の寝顔が目に入る。
まぁ、すれ違いみたいな偶然で出会った私たちらしい近づくきっかけ
だったかな。
穏やかな寝息を立てる彼を見つめてそんな事を思い浮かべ、真友子は、
そっとベッドから抜け出した。
薄っすらと暖房はついているものの、一糸纏わぬ体には部屋の空気は
冷たかった。
だから真友子は、落ちていたパジャマを羽織り、拾い上げた小さな下着を
着けて静かに部屋を出て行く。
それから簡単に洗顔と着替えを済ませると、リビングに戻って小さくテレビを点けた。
折しも、朝のニュースの時間。
そして画面の中には、相変わらず見覚えのある景色が映っている。
まだ捕まってないんだ。
ポツンと声に出さずに呟いた真友子は、テレビに背を向けキッチンへと
向かった。
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