46人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、湯を沸かしながら、いつも通りにコーヒーの準備をする。
すると間もなく、そろりと寝室の扉が開き、のっそりと大祐の姿が現れた。
「おはよう」
Tシャツにトランクス姿の大祐に、明るく声をかける。
だが、呟くように「おはよう」と言った大祐は、視線をわずかに落とした。
だから真友子は、そんな彼に柔らかく笑いかけた。
「ちゃんと着ないと風邪ひいちゃうよ」
うん。
だが、ちょっと所在なさそうな面持ちで頷いた大祐は、黙ってバスルームへと向かっていく。
そして湯の沸くタイミングを計ったように、洗顔と髭剃りを終えて出てきた
彼に、真友子はもう一度声をかけた。
「コーヒーでいい? それとも、お茶にする?」
「まぁゆが飲む方でいいよ」
大祐は相変わらず呟くように言いながら、ソファに置かれた服を身に付け
始める。
そして程なく、ぼんやりとテレビを眺めはじめた彼の目の前に、真友子は
淹れたてのコーヒーのマグをそっと置いた。
最初のコメントを投稿しよう!