45人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
13 オタク部屋とお急ぎ洗濯
大祐、お前、何か良い事あっただろ。
実家に帰った元日、覚悟はしていたが、同じく挨拶に来ていた兄と姪に
呆気なく真友子のことを見破られた。
だが幸いにも、からかいの餌食にならずに済んだのは、思った以上にこの事を両親が喜んだため。
特に母親は、大祐の結婚は半ば諦めかけていたと、泣き出す始末。
正直、まだ付き合い始めて数日で、結婚には程遠い。
だが、それを口に出来なかったくらい新年から両親を喜ばせられたのは、
大祐も少くなからず嬉しかった。
しかし、その実家からの帰りは、いつもの年と全く違う。
これまでならば、毎年持たせてくれる祖母と母の心づくしで傾ける一杯の事
などに少し浮かれたもの。
だが今年は、これからまた真友子に会えるという事に、飛んでいきそうな
くらいに心が躍る。
今まで、一人で居るのが当たり前だったのが不思議に思えるな。
しかも新年の仕事始めは互いに六日からという事と、この年のカレンダーの
配置が功を奏し、年が明けてからも一週間のお休み。
それを、丸っと彼女と一緒にいられると思うと、なんとも言えない幸福感に
満たされる。
最初のコメントを投稿しよう!