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帰宅し、すぐに部屋へと向う。いい加減荷物をまとめなくてはいけない。そう考えていると、部屋の扉がノックされた。返事しないわけにもいかないので、返事をすると入って来たのは両親だった。いつもは母親だけなのに、今回は父親も一緒だった。
まだ説得するつもりなのかと考えたアリエスだったが、どうやら違ったようだ。
「住む場所が決まったら教えなさい。持って行きたい物は送ってあげるから、すぐに必要な物だけ持って行きなさい」
「言っても聞かないんだから。ほら、お金も持って行きなさい。貯めていたものだけじゃ大変だからな。この村ではあまり使うことはないから気にすることはない」
「認めて、くれるの?」
説得しない両親に言われて、アリエスは驚いた。どうやら両親は認めてくれたようだった。
「時々は帰ってきなさい。それと、心配だから手紙は出しなさい」
まさか認めてくれるとは思っていなかったアリエスは、荷物を最小限にまとめて早めの就寝についた。いつウォーヴァ―が来るのかわからなかったからだ。来ると言ったのだから、絶対に来ることはわかっていたが、もしも寝ている時に来られると一緒に行けないから早く寝たのだ。
翌日起床したのは、いつもの時間より少し早かった。仕事に行く時よりも早く起床したのは、ウォーヴァ―は朝早いからだ。着替えて準備をして、いつもより早い朝食を両親と共にとる。
帰宅しない限りは、両親と食事をとることも最後になるかもしれない。そう思うと、アリエスは少し寂しくもあった。母親と一緒に食器を洗い、両親とイスに座り何気ない会話をした。
そして、朝8時。インターホンが鳴った。母親が出ると、そこにいたのはウォーヴァ―だった。父親が、アリエスに荷物を取りに行けと目配せをした。それにアリエスは小さく頷いて部屋に荷物を取りに行った。
玄関で母親とウォーヴァ―のやり取りを聞きながら、荷物を持って階段を下りる。そして、家を見回して玄関へと向かった。荷物を持ったアリエスを見てウォーヴァ―は目を見開いた。
「それじゃあ、行ってくるね」
「気をつけなさいよ」
「住む場所が決まったら連絡しろよ」
「うん!」
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