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※短編は本編を読んでから読むことをお勧めします。
ネタバレや、次の話へ関係ある内容のものもあります。
白龍が戻って来て3日がたった。前日に悠鳥に連れられて、城の裏にある森の湖で小さな『白龍』の姿になり水浴びをした白龍は、今日とても機嫌がよかった。
馬車に揺られながらも、楽しそうに白美とツェルンアイと話しをしていた。久しぶりの水浴びが気持ちよかったようで、水浴びから帰って来てからずっと機嫌がいいのだ。
そして、現在。龍達は、黒に近い紫色をしている建物の前にいる。それは、ルイットのサトリのお店だ。エリスが扉を開くと、前回と同じようにドアベルが鳴った。しかし、前回と違うものがあった。それは、お店にサトリがいるということだった。
「あら、いらっしゃい」
そう言って笑顔で迎えてくれるサトリは、やはり女性にしか見えなかった。白美が扉を閉めると、白龍は龍と手を繋いだままサトリを見つめて黙ってしまった。椅子に座ることもなく黙って立っている白龍に、サトリは首を傾げた。
そんな白龍を気にしながらも、エリスはカウンターチェアに座った。右隣に黒麒と白美が座り、左隣にツェルンアイが座る。その隣に座ろうと龍は考えているのだが、白龍が動かないのだ。
「女の人? 男の人?」
サトリを見て、違和感を感じたのだろう。そう言って首を傾げる白龍にサトリは微笑んだ。しかし、内心は驚いていた。今まで一度も、初対面の人物に男性だと思われたことがないからだ。紹介されなくても、サトリには今目の前にいる子供が『白龍』だとわかっていた。誰かの心を読んだというわけではなく、長く生きていると雰囲気だけでも人間ではないとわかるのだ。
だから、もしかすると違和感を感じたのかもしれないと思った。それに、もしかすると誰かにサトリの話しを聞いていたのかもしれないと。
「初めまして。私はサトリ。これでも男よ。それで、貴方は白龍ちゃんね?」
「うん! 僕、白龍」
頷いて元気良く答えた白龍に、サトリは右手でカウンターチェアをさした。それは、どうぞ座ってくださいという意味だ。
龍と共に近づくが、白龍1人では高くて座ることができない。そのため、龍がツェルンアイの隣のイスに白龍を抱き上げて座らせた。テーブルは低いため、座った白龍にも届いた。背もたれがないため、少し心配ではあるが、龍も白龍の隣に座った。
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