短編06 白龍とサトリ

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 エリスの言葉に白龍は首を傾げた。魔法を使った記憶はないのに、エリスに使ったと言われたからだ。いつ使っただろうかと白龍は考えたが、思い当たらなかった。 「お歌、歌ったでしょ?」 「歌った!」 「その時、みんな笑顔だったもんね。魔法だよね」 「ま、ほう……」  エリスと白美は、白龍の歌でみんなが笑顔になったことが魔法だと言いたいのだ。それは、白龍も魔法を使えるんだと元気づけるものだったのかもしれない。  たとえそうだったとしても、白龍にとってはよかったようだ。白美の言葉を聞いて、白龍は嬉しそうに笑顔を浮かべた。 「それ、まほう?」 「魔法だよ、魔法! だって、笑顔になると幸せになるんだもん!」  笑顔を浮かべて言う白美に白龍は大きく頷いた。たしかに、今笑顔を浮かべている白美は幸せそうだった。だから、白龍もさらに笑顔を浮かべた。  それを見て、サトリを含めて龍も笑みを浮かべた。今は魔法を使えないことにがっかりしないかと思ったのだ。使えるはずなのに、白龍は一度も使っていないのだ。幼いため仕方ないとは言っても、白龍は龍の役に立ちたいと思っているのだ。使えるのに、使っていないと知ればがっかりするかもしれない。 「さあ、それじゃあ白龍ちゃん。お菓子をどうぞ!」  そう言ってサトリは白龍の前にお菓子を置いた。もしかすると、サトリは白龍にお菓子を渡すために用意していたのかもしれない。  さまざまな種類を置かれ、白龍は隣に座る龍を見上げた。そんな白龍を見て、龍は何も言わずに食べていいと頷いた。一応、エリスのことも見て確認してから、白龍はクッキーの入った袋を開けた。  そして、一口を食べると美味しかったのか、笑顔を浮かべた。そして、隣に座るツェルンアイにもわけている。 「貴方達、あまり来てくれないけど、気軽に来ていいのよ?」 「そんな気軽に来れる距離じゃないのよ」  ヴェルオウルからルイットまでは少々遠いのだ。気軽に来てもいいと言われて、来れるはずもない。用事で来る時や、その日何もなければ来てもいいと考えながら、エリスもクッキーを一つもらい食べるのだった。 短編06 白龍とサトリ 終 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 気軽に来てと言われても、行かないエリス達。 今回は、ただサトリに白龍を会わせるだけ。 ついでに魔力を見てもらっただけです。
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