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※短編は本編を読んでから読むことをお勧めします。
ネタバレや、次の話へ関係ある内容のものもあります。
アレースはウェイバーによく言われていた。
「お前は、悠鳥のことが好きなんだろう?」
その言葉にアレースは「お前は、何を言っているんだ?」と返した。アレース本人が、悠鳥を好きだということに気がついていなかったのだ。たしかに初めて見た『不死鳥』は綺麗だと思った。だが、綺麗と思っただけで好きだとは思ってもいなかったはずなのだ。
だから、仕方のない返答だった。
悠鳥に恋をしていると気がついたのは、スカジのことがあって暫くしてから。落ち着いて、仕事も忙しさから解放された時だった。空を飛ぶ悠鳥を見るたびに嬉しくなり、声をかけたり、幸せな気持ちになったりしたのだ。もしかすると、スカジのことがなければずっと悠鳥のことが好きだと気がつくことはなかったかもしれない。
一緒に話していて、笑う悠鳥を見て一緒にいたいと思うようになった。それから、幸せにしたいと思うようになったのだ。
それが恋なんだと気がついたのは、幸せにしたいと思った時だ。だが、この気持ちを伝えることはできない。悠鳥には迷惑をかけたくはない。
それに、悠鳥は一応エリスの使い魔なのだ。この気持ちを伝えてしまえば、エリスから悠鳥をとることになってしまう。それだけはできなかった。自分の幸せより、エリスの幸せと安全を優先するアレースはそんなことをするくらいなら気持ちを伝えないと決めたのだ。
しかし、白龍が誘拐されて思いは変わってしまった。もしかしたら、気がついた時には悠鳥も姿を消しているのではないかと。
それは、怖かった。自分の知らない場所で悠鳥が消えてしまうなんて、嫌だった。だから、悠鳥がエリス達と一緒にウェスイフール王国に行かずに、ずっと自分の側にいる時に口にしてしまったのだ。
「俺のそばにいないか?」
と。だが、それは意図せず口に出してしまったのだ。自分の耳にその言葉が届いた時、アレースが声に出していたことに気がついた。
「い、いや。なんでもないからな!」
顔を赤らめてそう言うアレースに、悠鳥は何でもない顔をして口を開いた。
「妾は、アレースと一緒にいたいと思っておるが?」
「え!? それって……。け、結婚してくれるのか!?」
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