マスクに依存している私

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そうして迎えた卒業式、当日。 さすがに卒業式にマスクをつけるのは非常識だと思い、久々にマスクをはずして登校した。 周りの視線が痛い。 自意識過剰なんだろうけど、自分の一挙一動を見られているようで気になって仕方がない。 自然と下を向いて歩いてしまう。 ……早く帰りたい。 頭の中はその思いでいっぱいだった。 今日さえ乗り切れば、 またマスクのある生活に戻れる。 私は足早に学校へ向かった。 なんとか卒業式を乗り切り、教室へ戻る。 先生の話が終わり、アルバムを受け取った。 その際、小さめの紙袋も一緒に手渡される。 なんだろう、この袋。 「以前皆に書いてもらったメッセージカードです」 先生の説明で思い出した。 先月くらいだっただろうか。 クラスメイト全員にメッセージを書くように、とメッセージカードが配られたのだった。 仲の良い子にはたくさんメッセージを書き、そうでもない女子にはそれなりに書いた。 男子にはなんと書いて良いか迷い、ありきたりな当たり障りのない言葉をつづった。 クラスメイトも自分と同じようなことを考えていた人が多かったのかもしれない。 女子はたくさんの文章、男子は少なめ。 まだ全員分が読み終わらないうちに、 ホームルームは終わり解散となった。
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