消しゴムが…

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「えっ」  なんということでしょう。試験監督が起きたのだ。  クラス全員が一斉にこっちを見る。視線が痛い。 「試験の決まりを知らないのか? 3年にもなって」 「……すみません」 「あの」  左隣からキレのいい声が聞こえた。メガネだ。 「どうした、メガネ」 「先生、お言葉ですが貴方も試験監督中に居眠りをこいておられましたが」  おお。 「そ、それはだな……」  クラス全員の視線がメガネから黒板の前に座る先生に集められる。 「それについては、どうお考えで?」  メガネが畳み掛ける。  成績優秀、悔しいが非の打ちどころのない風紀委員長の彼に言われてしまったらたとえ先生でも返す言葉がない。 「……テストを続けなさい」  その日の放課後。 「ありがとうなメガネ。助かったぜ」 「礼などいらない。俺は当然のことをしたまでだ」  そう言いながらも口元はニヤけている。  こいつは嘘をつけない性格なんだな。  メガネに救われた消しゴムと僕。  翌日、お礼として彼に新品のシャーペンを買った。
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