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「ごめんなさい」
大地とキスせんばかりに顔面を近づけるゴメンナー。さながら大地への接吻と言ったところか。こんな汚い場所でよくやるものだ。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「やめろ。そんな大げさなことをされたら、目立ってしょうがないじゃないか」
じょじょに野次馬の輪が俺たちを中心に広がっていく。スマホをかまえ、動画や写真を撮りだすヤツも現れだした。
クソッ。注目を集めるばかりだ、これじゃ逃げられない。焦りを覚えながら、チラとチャコのほうに視線を向ける。
チャコは立ち尽くしたまま、ゴメンナーの奇行を黙って見つめていた。戸惑いの表情を浮かべながら。
「ごめんなさい」
ダメだ。堂々めぐりだ。いったいなんなんだ、こいつは。まるで謝ることに愉悦しているかのようだ。
「どうして、そんなに謝るの?」
そこに、俺の疑問を代弁するかのように口を開いたのは、チャコだった。
ゴメンナーは土下座をやめて立ちあがると、おもむろに語りだした。
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