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どこか荘厳な雰囲気を感じ取れそうである。
その頃になると、少なくない数の人間が冷静さを取り戻し、群衆をスムーズに誘導させようとした。
人が少しずつ捌(は)けていく。
反発するような不届き者も出ず、静かに、そして着実に誘導は成された。
ある程度の整理が完了したころの事だ。
高層ビルに備え付けられた巨大なビジョンが、カウントダウンを唱えだした。
新しい年を迎えようというのである。
ーー5、4、3、2……。
アナウンサーが「1」と叫ぼうとしたその瞬間だ。
街の群衆の手から一斉に閃光が走った。
何の予兆もなく、爆竹でも連ねたかのような破裂音が至るところで発生した。
これまでの騒ぎで耐性の出来ていた群衆は、パニックに陥る事は無かったが、これには誰もが驚いた。
そして、あちこちで囁かれる。
ーー今のは一体何だったのか。
ーーこの騒ぎはいつ終わるのか。
街のどこを見渡しても、推論を述べる人物すら現れる事はなかった。
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