銀杏並木に想いを寄せて

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ピンポーン 普段沈黙したままの玄関チャイムが鳴った。 いつもは郵便なども全くないのに誰だろう。 鍋に火をかけるのは諦め玄関へと向かう。 「はーい、どなたですか。」 声をかけながら引き戸を開けると、全く見知らぬ男女が立っていた。 二人共年の頃は二十代前半…否、若く見える容姿なのでもしかしたら半ばくらいだろう。 男性のほうがチャイムを鳴らしたのか前にいて、後ろの女性はパンツスーツに腰のあたりまで伸びる黒髪、ビジネスバッグを両手で持っているくらいしかわからない。 男性は線の細い整った顔立ちで縁無し眼鏡をかけてこちらもスーツを着こなして片手にビジネスバッグを持っている、そのためか真面目で勤勉な印象を受けた。 予想だにしない訪問者に驚いていると、男性が笑顔で胸ポケットから何かを出してきた。 「はじめまして木ノ下さん、私はこういうものです。」 言いながら出してきたものは名刺だった。 おずおずと受け取り書かれている文字を見て更に驚いた。
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