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ちょっと昔のお話です。
ある山合の小さな村に、十兵衛という男がおりました。
この十兵衛、六尺の大柄にて力持ち、性質は至って真面目で、とても穏やかな心の持ち主でしたが、珠に傷と言いましょうか、如何せん顔がとても怖かった。
ぎょろっとした目は般若の如く吊り上がり、口は耳元まで大きく裂け、まさに鬼のような顔をしていました。
そんなおっそろしい顔とは裏腹に、実は気の優しい十兵衛ですから
「やーい、鬼の子。鬼十やい」
そんなふうに、十兵衛は村人からいじめられておりました。
いつしか十兵衛は人目を逃れ、村の集落から半里ほど離れた山小屋でひとり、炭を焼いて暮らすようになりました。
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