蠱刑

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部屋に戻った私たちは、来る途中で買ってきた日本酒を飲みながら、だらだらとたわいも無い会話を続けていた。 「さっき、女将の様子が少し変じゃなかったか?」 「そうか?」 「神社の話を始めてからだ。どうも触れられたく無いような感じがした」 言われてみればそうだったかもしれない。 「それに、雪が積もった日に行ってはいけないというのはどういうことだろうか。危ない道もないみたいだし」 「どっちにしろ明日は晴れだ。心配する必要はないさ」 ほろ酔い気分で布団に入るとすぐに眠りに落ちた。 酒を飲むと眠りが浅くなるというが、旅の疲れもあってかぐっすりと眠ることができた。 翌朝、カーテンの隙間から差し込む光で目が覚めた。凍えるような寒さで布団から出ることができない。 ふと横を見ると、笹井の姿がない。トイレにでも行ったのだろうか。 布団を被りながら石油ストーブの電源を入れる。 部屋は次第に暖かくなって来るが、笹井が戻ってこない。 仕方なく布団から出てカーテンを開けた。 天気予報は当てにならない。一面に白銀世界が広がっていた。
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