0人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくすると、ホームに電車が滑り込んでくる。その電車の中は、当然のことだがいつもより人が少ない。だが車内はわずかにだが暖房が効いていて、少し扱ったので手袋を外し、コートのポケットに入れる。
再びスマホを見ると、あの人からメッセージが来ていた。
もう家を出て出発したこと、今電車で向かっていることを伝えると、OKのスタンプが返ってくる。それを確認して、スマホを閉じた。
列車の窓の外には、夜の闇のような世界が広がる。地下鉄だから当たり前なのだが、それでさえも今の僕の気分を高揚させるのには十分なものだった。
そして、車内アナウンスが目的地の駅名を告げる。数人の乗車する人と入れ替わるようにして駅のホームに降り立つ。ホームに置いてある自販機で暖かいお茶を買い、一口飲む。喉から胃にかけて暖かいものが通って行くのが分かり、ほうっと体の底からため息が出る。
最初のコメントを投稿しよう!