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そのアトリエは…
物凄くだだっ広くて、カーテンを閉めきっていて、薄暗い部屋でした。
そこには、何枚もの絵が壁に立て掛けてあったり、
いくつか有る小机にパレットやら筆やら絵の具やらが散乱してたんですけど…
その絵の何枚かを見てみると…
そのどれもが、何か気持ち悪い絵でしてね…。
頭に斧が突き刺さって血を流しているのに笑っている男の顔やら…。
体は人間なんですけど、頭だけが昆虫の怪物やら…。
なるほど。
こんな絵を描く画家なら、私の姿を描きたいだなんて言わないだろうな…。
って、妙に納得しちゃいました。
いやぁ、でもこんな絵が世界的に評価されるなんて…。
私、美術の事はよく分からないですわ。
それでね、先生。
そのアトリエ…
奥の方に、いくつか本棚も有って…
どうやらその部屋、アトリエ・兼・書斎みたいなんです。
本棚を見てみると、物凄く分厚い本が何冊もびっしりと入っていました。
私、その何冊かをパラパラと読んでみたんですけど、
そのどれもが何か外国の文字がびっしりと書き込んであって、全然、内容が分かりませんでしたわ。
あ、英語ではない事だけは確かです。
私だって昔、学校の授業で英語を学びましたもの。
それくらいは、分かりますわよ。
まあ、アトリエに入った事は、こっそり入った手前、帰って来た主人には言いませんでしたけどね。
もちろん、使用人たちにも口止めして。
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